こんにちは。
決して安くはない矯正の治療費。100万円以上かかってしまう事もあるので大きな出費です。
この金額が少しでも安くなったらいいですよね。
確定申告では、矯正の治療費を医療費として申請し控除を受けることが可能で、この医療費控除により還付金を受け取れる場合があります。
「大人でも?」と不安に思ってしまうかもしれませんが、噛み合わせや発音障害などの機能改善が目的であれば申請に問題はありません。30歳の私でも矯正費用を申告できましたし、診断書無しでできました。
ちなみに私の場合、治療費76万円で還付金は3万6千円ほど。正直、期待していた額よりも少なかく「本当にこんなもん?」と疑問に思ってしまったのも事実です。(同じように感じた方、いらっしゃるでしょうか。)
還付額は収入やその他の控除額によって異なります。今回は基本的な計算方法を確認し、2つの計算例を使って詳しくまとめました。
還付金はなぜ発生する?
還付金とは所得税を支払い過ぎた時に返還されるお金です。
なぜ返還されるかと言うと、1年間に支払うべき金額と実際に支払ってきた金額に差があるから。支払ってきた金額が仮の額で前払い(源泉徴収)のためこのようなことが起きます。
年末までに多く支払っていればその分返還され、逆に少なく支払っていれば追加で納付となります。
この差を埋めるために行われる処理の一つが年末調整。会社員であれば通常12月に清算が完了します。
しかし、年末調整では社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、住宅購入時のローン控除、人的控除しか受けることができません。
医療費を申請する場合には自分で確定申告を行う必要があります。
図にするとこんな感じです。
矯正費用での還付金はいくら?
確定申告で医療費を申告した場合の、還付金の計算式を確認していきます。
「計算式の確認なんて面倒!」 という人はこちらを参考にしてみてください。
3つの値を入力するだけで、還付金の目安が分かるツールを作ってみました!
計算式の方ですが、還付金は、
となりますが、それぞれの「所得税」は「課税所得(課税の対象となる所得)」によって変わり、さらにこの「課税所得」は「控除」によって変わってきます。
つまり、医療費の申請によって控除額が変わるので還付金が発生するという事ですね。
所得税は1番目の式で求められます。また、課税所得は所得から控除を引いた額になるので2番目の式となり、1番目と2番目の式を使って最終的に橙色の枠内の式になります。
「税率」と「速算表の控除」は以下の表を参照します。
上の表を見ても分かる通り「税率」は所得によって変わりますから、年収によって控除額が変わってくるということになります。
そこで年収400万円と年収800万円を例に還付金を計算してみましょう。
例1 年収400万円
(1)給与収入(税引き前年収)・・・400万円(例)
(2)給与所得控除・・・134万円(下の画像の給与所得控除の速算表より)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm
※年度によって異なりますので実際に計算される場合にはリンクから対象年度を参考にしてください。
(3)給与所得・・・給与収入ー給与所得控除 = 266万円(1-2)
(4)控除額(基礎控除等)・・・100万円(例)
(5)課税所得・・・給与所得ー控除額 =166万円(3-4)
(6)所得税・・・課税所得*税率ー速算表の控除 = 166万円*5%ー0万円 = 8.3万円
会社が代行してくれる年末調整で計算された所得税額が8.3万円。
この時点でも差額分が支払われたり戻ってきたりしていますが、今回はさらに確定申告で矯正治療費(仮に80万円)を医療費控除として申請することになります。
すると(5)式に控除が上乗せされて、
となりますが、この医療費控除額は、
で計算できるので今回の場合、
(7)医療費控除・・・・80万円ー10万円=70万円
となります。(今回は保険分を無し。)
結局、矯正費用を申請した後の課税所得は、
(8)課税所得=266万円ー100万円ー70万円=96万円
となり、さらに(6)の式に当てはめて所得税を計算すると、
(9)所得税=96万円*5%ー0万円=4.8万円
です。
本来支払うべき所得税は4.8万円なので、これまで支払った分との差額は、
(10)還付金・・・8.3万円ー4.8万円=3.5万円
となり、3.5万円が戻ってくるということになります。 (現在は復興特別所得税が含まれますが簡単にするために今回は省いて計算しました。)
例2 年収800万円
(1)給与収入(税引き前年収)・・・800万円(例)
(2)給与所得控除・・・200万円(給与所得控除の速算表より)
(3)給与所得・・・給与収入ー給与所得控除 = 600万円(1-2)
(4)控除額(基礎控除等)・・・100万円(例)
(5)課税所得・・・給与所得ー控除額 =500万円(3-4)
(6)所得税・・・課税所得*税率ー速算表の控除 = 500万円*20%ー42.75万円 =57.25万円
最初の例と同じように80万円の矯正治療費を医療費として確定申告することにします。
(7)医療費控除額・・・80万円ー10万円=70万円
(8)課税所得・・・600万円ー100万円ー70万円=430万円
(9)所得税・・・430万円*20%ー42.75万円=43.25万円
還付金は(6)ー(9)なので、
(10)還付金・・・57.25万円ー43.25万円=14万円
となりました。
年収が高ければ高いほど還付金の額は大きくなるということがわかると思います。
結論
年収400万円で矯正費用80万円・・・還付金目安3.5万円
年収800万円で矯正費用80万円・・・還付金目安14万円
人によって保険等の控除額が異なったり計算で速算表を用いているので、還付額は目安となりますが、およそこのような結果となりました。
私の場合
私も矯正を行なった年末に確定申告を申請しました。
正直もっと戻ってくるのかと思っていたんですが、、、
医療費申請額:758,886円
還付金:36,907円
となりました。
年収もそんなに高い訳ではありませんし、保険なのどの控除もあって課税所得が低くなりこんなもんでした。
確定申告の流れについてはこちらを参考にしてみてください。WEBで簡単にできました。
まとめ
歯列矯正でかかった費用を確定申告した場合に、戻ってくる金額を計算しました。
最初私は正直、「費用から10万円を引いた額が戻ってくる?」と何の根拠もなく期待していたんですがそれは間違いでしたね。。。
正しくは「費用から10万円を引いた額を控除として申請できる」となります。申請により課税所得が少なくなって所得税が変化し、還付金が発生するという仕組みとなります。
還付金は年収が高くなればなるほど戻ってきます。今回計算した例だと80万円を医療費として申請した場合で、年収400万円で3.5万円、年収800万円で14万円となりました。
矯正治療を行った場合には、是非確定申告を行いましょう!